国産ジーンズの歴史について。「日本ジーンズ物語」

「日本ジーンズ物語」

カテゴリとしてはビジネス書になる本書だが、我が日本で作られるジーンズが世界に名だたるブランドへと成長していく過程を、当事者への丹念な取材によって記録した内容は読み物としても非常に面白い。

現在でも日本製にこだわった「DENIM CRAFT」などの良質なブランドを展開している株式会社ビッグジョン(BIG JOHN)の母体である「マルオ被服」の創業者・尾﨑小太郎氏とその部下であった大島年雄氏と柏野静夫氏。
この三人が日本のジーンズ作りのパイオニアであることはよく知られた話ではあるが、学生服を作っていたマルオ被服が国産ジーンズ製造を手掛けることになるエピソード等には本当に引き込まれる。

現在でも日本製ジーンズの聖地はビックジョンの本社がある岡山県倉敷市児島である。
ジーンズ好きの人にはつとに有名なこの「児島」という町は、実は驚くほどローカルな町であって、なぜこの児島という小さな町で世界に羽ばたく日本製ジーンズが生まれ、育ったのか。本書ではその歴史的、地理的背景にまで踏み込んで詳細に考察されている。
普段ビジネス書など読まないという方にもおススメだ。

本書を読むとジーンズやカメラなど、元々は欧米で生まれたモノが、日本のメーカーで作られるようになると、どうして本家本元を遥かに凌駕するようになっていくのか、その本質が垣間見える。

努力の質が根本的に違うのだ。
作り手側の個人個人が商売を抜きにして、何よりそのモノを愛しており、徹底したこだわりを持っていて妥協の無いものづくりをすることと、それを具現化する企業側の度量があること。
更に、その「こだわり」を評価し応援する購買層が国内にしっかりとあること。
だから、我が日本で作り出されるものは魅力的なのだ。

本書ではジーンズそのものの歴史を詳述する中で、リーバイ・ストラウス社の商標登録戦略にも触れられているのだが、そこで思い出されるのが、2000年に入ってから頻発したリーバイスによる日本のジーンズメーカーへの訴訟ラッシュの件である。
前回紹介した「サムライジーンズ」もその標的にされたし、エドウィンからフルカウント、エヴィスなども巻き込まれたかと記憶している。
あの一連の流れでリーバイスを心底嫌いになった人も多かろう。
あれは誰の目にも明らかな「嫌がらせ」「言いがかり」であって、欧米人の本質を物語った出来事だった。
日本人が自分たちには到底作れないレベルのものを続々と作り出すようになると、訴訟によって潰しにかかるといういつものパターンである。

リーバイスは、本質を見失った営利的ものづくりに傾いた結果、愛好家からそっぽを向かれたのだ。
その事実に目をつぶり、到底追いつけないレベルに進んでしまった日本の小規模なブランドを標的にして潰そうとするその姿勢は実に哀れなものであった。

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